マルセン財団

第11回マルセンスポーツ文化賞

マルセン特別賞

佐々木 英代 (音楽・声楽)
声楽、発声法、指揮法を学び、特に日本歌曲を得意としている。昭和51年から近代日本音楽研究会を主宰し、日本歌曲の連続演奏会を開催するとともに、中国二期会の主要メンバーとしてオペラの主役を演じ、ソリストとして宗教曲オラトリオ等も数多く演奏している。大学在学中から合唱の指揮に携わり、女声合唱団を全国大会で幾度も優勝に導く。特に300人合唱で知られる岡山女声合唱団「華」は、ウィーン、上海、シチリア、サンフランシスコ等の海外公演でも大好評を博している。また、後進の育成にも力を注ぎ門下より地元岡山に声楽家合唱指導者を数多く輩出している。次代を担う子供たちへの指導「学校出前講座」「オペラってなあに?」においても、小中学生を対象とした、楽しくそして貴重な芸術体験を提供して好評を博している。さらに、岡山県演奏家協会長としてルネスホールの開設当初から、クラシック委員会の委員長を務めるなど地域の音楽活動を支えている。 また、ソリスト・合唱指導者・プロデューサー、指揮者そして、教育者等々と多彩な幅広い音楽活動を通じて地域の文化・芸術の振興に、多大な貢献しており、その功績は極めて大きい。

マルセンスポーツ賞

IPU・環太平洋大学 女子柔道部 (柔道)
平成25年度全日本学生柔道優勝大会を制し、続く11月の全日本学生体重別団体優勝大会も優勝し、史上初の団体2冠を成し遂げた。オリンピック柔道の金メダリスト古賀俊彦氏を総監督に迎え、矢野監督とともに「自分にうそのない練習」をモットーに最強軍団を作り上げた。その活躍は、岡山県民に大きな夢と勇気を与えてくれた。その功績は誠に多大である。
小川 晃平 (体操競技・新体操)
平成17年、小学校4年生から井原ジュニア新体操クラブに入会。豊富な練習量により実力をつけ、全日本ジュニア新体操選手権大会で2年連続4度目の優勝に貢献。井原高等学校新体操部に入部後もさらなる指導、練習量により、平成25年には、男子個人総合で岡山県勢では初の全国選抜、全日本ユース、インターハイの高校3冠を達成した。剛と柔を演じ分ける抜群のセンスに心技体を磨き上げ急成長した。4月から花園大学に進学し、新天地において、さらなる飛躍が見込まれる。
吉備国際大学 女子サッカー部 (サッカー競技)
唯一の大学生チームとして、なでしこリーグに参戦している吉備国際大シャルムの母体となるチームである。年末から年始にかけて行われた第22回全日本大学サッカー選手権大会で、関東、関西以外の大学では、初の優勝を飾った。高校時代に年代別代表を経験したような選手が一人もいない中、無名選手たちが切磋琢磨しながらチーム力を上げていった。この優勝は、なでしこリーグに参戦している吉備国際大シャルムに大きな力を与えるとともに岡山県民に女子サッカーへの大きな夢と勇気を与えてくれた、その功績は誠に多大である。 選手たちは、サッカー教室やイベントの手伝いなど、地域貢献活動にも力を入れており、過疎が進む町をにぎわせてくれる存在として住民に親しまれている。
佐々木 美行 (スケート競技フィギュアの指導)
大学時代に、スケートに出会い、選手とし活動し、大学卒業と同時に小学校教諭として勤務。倉敷市にスケートリンクが新設された時、平成5年に倉敷フィギュアスケーティングクラブを設立。その後、現在まで、フィギュアスケート選手の育成及び練習環境の充実に尽力してきた。これまでに250名以上の選手を指導し、現在も約40名のクラブ所属選手の育成・指導にあたっている。そしてその中から、世界選手権で優勝したオリンピック銅メダリストの髙橋大輔選手やジュニアグランプリシリーズ2連勝の田中刑事選手をはじめ、世界で活躍するアスリートや日本スケート連盟の強化指定選手を多く輩出してきた。本県の競技力向上のみならず、日本のフィギュアスケート界の競技力の向上に貢献し、その功績は顕著である。
野上 竜太 (自転車競技)
昨年、自転車スプリントで全国高校選抜、全国高校総体、JOCカップ、都道府県対抗、国民体育大会と主要5大会を完全制覇。180センチ、78キロの堂々たる体格を生かした力強いペダリング、圧巻のスピードで、国内最強の称号を欲しいままにしている。中でも、8月に行われたJOCカップの1000メートルタイムトライアルで、ジュニア日本新(1分4秒938)は、平地で出した素晴らしい快記録である。(前日本記録1分05秒238 高地(メキシコ)での記録である)岡山県自転車競技の隆盛を高めるとともに、今後のさらなる飛躍が期待される。

マルセン文化賞

小出 公大 (郷土史家)
氏は、以前から、史跡・旧跡・古墳・石造美術等々に関心を持ち、県内各地を巡って、それらを探訪することを趣味としていた。そんな中で、歴史的ゆかりの地なり貴重な文化財等が、時代の流れの中で、ややもすれば忘れ去られようとしている実態を見て、何とかならないものかと思っていた。たまたま観光物産課に在職のとき、「源平藤戸合戦」から800年に当たることに気づき、以前から嗜んでいた謡曲の名曲『藤戸』が現在の倉敷市藤戸を舞台に構想されていることを思い出し、これに関する小冊子を取りまとめる決心をしたのが、後々続く冊子の編さんにつながった。取材から刊行・配布まですべて自費での取り組みに、初めは難色を示していた奥様も、そのうちに氏の行動を理解されたのか、取材地に同行して写真撮影等に協力されるほどになった。 これら冊子に掲載された写真・資料等は、現地に足を運んで取りまとめられた郷土の今日を切り取る歴史資料でもあり、地道な活動は、敬服するに値するものである。 
須本 雅子 (工芸・染織)
平成9年全国伝統工芸品公募展に入賞。平成22年には、同展中小企業庁長官賞を受賞し、同25年には、同展で最高賞である内閣総理大臣賞を受賞する。氏は、岡山県の郷土伝統的工芸品に指定されている烏城紬の唯一の織元であり、この賞は、県内では初めてである。 烏城紬のルーツは、江戸時代後期に児島湾一帯で生産が盛んになった袴の織物業。糸紡ぎ・染色・機織りのすべてを一人で行い、平成7年から岡西公民館・灘崎公民館等で織物を教え、弟子は、約60人に上る。伝統工芸の担い手として、また、後継者の育成に取り組んでいる姿は、県民の誇りである。
藤原 洋次郎 (美術・現代アート)
国際的な規模でアート活動を展開している藤原洋次郎氏は、アーティストとして二つの顔を持っている。一つは、美しい抽象画を制作する画家としての顔。もう一つは、多くの参加者たちと共に無数のハンカチを用いて芸術空間(作品)を協働制作していく「ハンカチ・パフォーマー」としての顔である。 特に、「ハンカチ・パフォーマンス」は、2000年以降の藤原氏を語るうえで大変重要な制作活動になっている。藤原氏は常々「アートは心の記憶装置である。」と述べているように、ハンカチをつなぎ合わせ、異なる場所の中で非日常的な空間を創出していく一連の作業行為を通じて、ネット社会が発達することに従って次第に疎遠になりつつある人と人とのつながりやコミュニケーションの不足といった現代社会が抱えている問題、つまり人としての基本的営みの上で重要なファクターを再認識するために、芸術的体験を通しての問題提起でもあり、一つの解決策でもある。 また、教育者として、「アートを媒介としたとした医療福祉現場のコミュニケーション」をキーワードに国内外の現地の若い参加者と共に制作するスタンスは、岡山県内においても重要な役割を担っており、その活動と実績は素晴らしいものがある。 アートを目指す若者に大きな希望の光、夢と感動を与えたその功績は誠に顕著である。
横仙歌舞伎保存会 (無形民俗文化財)
平成8年と12年に後継者育成の観点から、歌舞伎専門職員の採用を奈義町に働きかけ、採用された職員に対しては、もっとも不足していた義太夫の語り手と三味線弾きの育成を行い全国から注目を集めた。平成11年からは横仙歌舞伎の素晴らしさを伝えるべく「四季の公演」と題した年4回の定期公演を続けており、また、県内外のへの出張公演も積極的に行うなど、横仙歌舞伎の周知に努めている。平成17年からは地元小学校3年生の総合学習時間に1年を通して行う歌舞伎体験指導も行っており、こども歌舞伎は、横仙歌舞伎の見所として定着している。平成25年度は、県立博物館主催の「吉備の国ジュニア歴史スクール」で歌舞伎講座を開催するなど、子どもへの教育にも熱心に取り組んでいる。  こうした積極的な活動は、伝統芸能の保存・伝承に大きく貢献するとともに、県内伝統芸能の範となっており、地域文化の向上に果たした功績は、顕著である。

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